溺れる愛
第19章 思っていた以上に
それから数日後、田所さんから
私のデザインした休憩室は大好評で
是非提携を結びたいとご連絡を頂いたことで
私は社長賞を頂ける事になった。
そして、wonder landさんからお疲れ様会という事で
簡単なパーティーを開こうとご提案があり
今日、その会場となる立派なホテルに来ていた。
「あ、先輩!コサージュが曲がってます。
ちょっと待って下さいね」
『ありがとう…こんな格好普段はしないから…』
菜々子ちゃんがコサージュの角度を綺麗に直してくれて
そのままニコッと微笑む。
「すっごく綺麗ですよ!ていうか先輩は普段が物凄く勿体ないんです。
今日くらい毎日お洒落してたら、男に困る事なんて有り得ないですよ」
『ふふっ、菜々子ちゃんくらいよ。
そこまで褒めてくれるのは』
「お世辞なんかじゃないです!
もぅ。真面目に聞いて下さい!」
『聞いてる聞いてる。ほら、行こう?』
「全然聞いてなぁーい!!」
ぷりぷり怒る顔も可愛い菜々子ちゃん。
私は黒いパーティー用ドレスを身にまとっていて
スカートの裾はレース調のもの。
靴も普段は履かないハイヒールで
なんだか歩きづらい。
菜々子ちゃんはサーモンピンクの可愛らしいドレス。
私はいつも通り髪を束ねようとしたけれど、せっかくだから下ろして巻こうと強く押され、
結局左側に全てのふんわり巻いた髪を纏めて、
普段つけないような長くて揺れるピアスを付けさせられた。
「男は揺れる物に弱いんです!」
別にそんな意気込みでこのパーティーに参加しているんじゃないのに…。
でも、菜々子ちゃんのチョイスはどれも間違いはなく
出来上がった自分の姿は、良いなと素直に思えたので
黙って従うことにした。