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溺れる愛

第19章 思っていた以上に




『わぁ…豪華な会場ね。それに凄い人…』


「本当ですね…。あ、先輩何か飲みます?
私貰ってきますよ」


『一人で大丈夫?私も一緒に行くよ?』


「いいから!私に任せて下さい!」



そう言って菜々子ちゃんは飲み物を取りに行ってしまった。


立食パーティーになっていて、辺りはスーツを着た男性と
私達同様にドレスを身にまとった女性が大勢いる。

中には工事業者の顔ぶれもあって、うちの社長と仲良さそうに談笑していた。


そう言えば、古いお付き合いだって言ってたな…。


私は、肌寒さからストールをキュッと握りしめて
行き場もなく、隅の方で大人しく菜々子ちゃんを待った。



そこに、満面の笑みを浮かべた田所さんが
遠いところから手を振って近付いてくるのが見えて
私は一礼した。


「いたいた。探しましたよ。
どうしてこんな隅の方にいるんですか。
新井さんは今日の主役なのに」


『いえ…私のことはお気になさらず。
皆様で楽しんで頂ければそれで』


「いけませんよ。それに今日は凄くお綺麗だ。」


ふわっと優しく微笑む田所さんは、少しだけいつもより男性の顔つきが目立っていた。


相変わらず口達者なところは少し気が引けてしまうけれど。


「あ、今日だけという意味ではないですよ?
普段も凄くお綺麗です」


『はは…それはどうも…』


さり気なく流そうと心無い返事をすると
少しムッとした顔をワザとされて、ちょっとどうしていいかわからなくなってしまった。


「それより。新井さんに会わせたい方がいるんです」



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