溺れる愛
第19章 思っていた以上に
『会わせたい方…ですか?』
「はい。先方も是非にと。
あなたのデザインを凄く気に入ってくれたみたいですよ」
あぁ…仕事関係の人なのね。
それは会っておかないと失礼かな。
『わかりました。私で良ければお会いします』
「ではついて来て下さい。
あちらの方でお待ちですから。」
どんな方なんだろう。
デザインを気に入ったって事は同業者かしら?
それならいい刺激を得られそうだな。
先を歩く田所さんの後ろを、歩きづらいハイヒールでよたよたと歩きながら着いていく。
「社長。今回のデザイナーをお連れ致しました」
立ち止まった田所さんがそう言って、一人の男性の後ろ姿に声をかけた。
しゃ、社長さん!?
って、この会社のだよね?
粗相のないようにしないと…!
そこで、社長と呼ばれた男性がゆっくりとこちらへ振り返った。