
溺れる愛
第19章 思っていた以上に
那津は、あれからまた少しだけ背が伸びているみたい。
人より頭一つ分、突き抜けるほど大きい。
見上げないと目線が合わないもの。
黒かった髪の毛は、少しだけ焦げ茶色になっている。
あの頃よりは少し短めで、サッパリした印象になっていた。
眼鏡は今もしているんだね。
だけど、それでも整った顔立ちはあの頃と何も変わらない。
落ち着いた雰囲気も
きっちりとした身なりも
何も変わっていない。
変わったのは、私達の距離だけだね。
友達でも恋人でも無かったけれど
知り合いとさえも呼べない程に
この八年で、こんなにも遠くなったんだね…。
