
溺れる愛
第19章 思っていた以上に
だめだ…顔…見れない。
あんなに会いたいと思っていたのに
いざ会ってしまうとどうしていいかわかんない…。
文句を言ってやろうって思っていたのに
何も浮かばなくなっちゃったよ。
胸の奥から込み上げてくるものが喉につかえる。
このままじゃ…この場で泣きそう…。
ダメ。
しっかりしなさい、芽依。
今は仕事中なんだから…!
『この度は、この様な素敵なパーティーにお招き下さり、誠にありがとうございます』
平静に…冷静に…。
「…こちらこそ。あの様な素晴らしい空間を作って頂けて、想像以上の出来栄えに言葉も見つからない程でした」
那津も…至って冷静に話してる。
いつも無表情だったくせに、やんわり微笑なんて浮かべて…。
誰?って思っちゃう程、その物腰が柔らかくなっていて
なんだか気持ち悪い。
でも、そうだよね。
社長なんて大それた存在になれているんだもの。
あんな態度じゃやっていけなかったんだよね。
成長…したんだね。
