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溺れる愛

第20章 近付けた喜びと陰




程なくしてインターホンが鳴った。


は、早い!

車か何かで来たのかしら…。


画面には那津が映っていて、とても不思議な気分。



『今、開けるね』


そう言って、私はオートロックを解除した。


その数分後、部屋のインターホンが鳴って
ドアを開けると、スーツ姿の那津が立っていた。


か…こいい…って!

見とれてる場合じゃない!



『どうぞ…』


「お邪魔します」


やっぱり、挨拶はキチンとするところも
変わってないね。


それがどことなく安心できて、スリッパを用意してリビングに案内した。



「…なんか……殺風景な部屋…」


『うん…自分でもそう思うけど…』


「ま、いいんじゃね?俺はこういう方が好き。
ごちゃごちゃしてるの嫌いだし」


『そっか…良かった…。』



好きって言葉に妙に反応してしまう。


私がって言われた訳じゃないのに…。


『今、お茶淹れるから…座ってて』


「ああ…」


やだ…。

緊張しすぎだよ私。


落ち着け…落ち着くのよ芽依…。


だけど…自分の部屋に
まさか那津が来る日が来るなんて…

本当にこれは現実?


私、夢見てるんじゃないかしら?


試しに自分のほっぺたをつねってみたら
そこからは鈍い痛みがする。


夢じゃ…ないんだよね…。



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