
溺れる愛
第20章 近付けた喜びと陰
しばらく髪で遊ばれたあと
すっとその手を離して見つめられる。
「芽依…」
な、名前…呼ばないで…。
嘘、呼んで欲しいんだけど…!
その、緊張しすぎるというか…!
「…こんな事言ったら…腹立つかもしんねぇけど…」
『…うん?』
「……ごめんな、色々…」
ごめんって………
『…何に対して…?』
「……全部…かな…」
全部って…。
『那津は……全部…遊びだったの…?』
一番訊きたくて…でも怖くて訊けなかった事…
今なら訊ける…。
「…正直…始めは何とも思ってなかった…」
その一言が、私の胸を抉る様に突き刺した。
