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溺れる愛

第20章 近付けた喜びと陰



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芽依は安心したのか、俺の腕の中でスヤスヤ眠ってる。


本当はもっと、言いたいことがあったはずなのに。

こうして側にいると全部吹っ飛んで…

ただただ芽依に触れたくなる。



俺…キャラ変わりすぎじゃね?


自分で思うけど…

前はすげぇ酷い態度ばっかりとってたな。


ワザと嫌われようとした。


憎むことで、楽になって欲しい。

そう思ってたんだ。


だけど違った。


芽依は、そんな奴じゃない。


人を憎めば憎むほど

同じだけ自分も傷ついてしまうような女だ…。


わかってたはずなのに。


結局何もかも、俺は芽依に押しつけて

ツラい思いをさせてしまった…。


そんな俺が…お前をまだ好きだなんて


言っていいのか…?


そんな資格、俺にあるのか…?


芽依のサラサラの綺麗な髪を一束掬って
それにそっと唇を重ねる…


あの頃と変わらない、いい匂いがする。

シャンプーと、芽依の甘い香り。


本当はこのまま芽依をさらってしまいたい。


俺は、自分のそんな身勝手な欲望をグッと堪えて
眠る芽依を抱いてベッドまで運んだ。


やっぱり…痩せたな。


あまりにも軽すぎた芽依は、どこか儚くて。

穏やかな寝息を立てて眠る芽依に
そっと布団をかけてから

おでこにキスをして、部屋を後にした。


これくらいは…許してくれるよな?



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