溺れる愛
第21章 波乱の合コン
那津はバツが悪そうにもう一度舌打ちをして
今度は何やらさっきとは話題を変えたみたいだ。
「つーか、お前がさっさと場所教えねーから
こんだけ時間くったんだよ」
「あれ?俺の買いかぶりだったかなー?
那津なら5分もあれば来ると思ってたけど」
「場所考えろよ!ハッキングすんのは簡単だけど、会社からここまで何分かかると思ってんだ」
「うーん…30分くらい?」
田所さんは飄々と受け答えをしているけれど…
待って。
今、“ハッキング”って言った?
それって確か…ダメな奴じゃないの…?
「空飛べたら5分もありゃ着いただろうけど、生憎俺は鳥じゃねーんだよ。」
「えー!那津はスーパーマンでしょ?」
「んなわけねーだろ」
さっきまではどこかほろ酔い気分だったけど
この2人の会話のせいで
なんだか一気に醒めた気がする…。
すると、那津が田所さんから視線を私に移した。
お互い視線がぶつかって
私も逸らせずに見つめ返す。