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溺れる愛

第21章 波乱の合コン




「あとは、お二人で」



田所さんがにっこり笑ってその場を去っていこうとして、

那津が口を開きかけた瞬間

また違う声が私を呼んだ。


「芽依?」



『あ…先輩…』



店から先輩が出てきて、その瞬間
田所さんが舌打ちをしたのが聞こえて驚いてしまった。


そして那津も、なんだか表情が堅い…。


先輩も、この状況を見て凄く驚いた顔をしていた。



「なかなか戻って来ないから心配で…」


『ごめんなさい…もうそろそろ戻ろうと…』


言い掛けた私の言葉を、田所さんが遮った。


「新井さん、やはり体調が良くないみたいですので、
このまま僕達が送っていきますね」


え…別に私、どこも悪くないんだけど…。



「そう…ていうか、君…」


そして先輩が那津に視線を移して、怪訝な表情を向けた。


もしかしたら…先輩、那津の事を覚えている?


どことなく、漠然とした不安が私の鼓動を速めた。



「君はもしかして…芽依の…?」


芽依の…何?

そうよね、言えないよね…。

だって私ですら、那津と私の関係性が何なのかわからないんだから。


問われた那津は、ゆっくりと先輩に向き直って
低いけれど、良く通る声ではっきりと告げた。


「…お久しぶりです。先輩」



那津…今、どんな顔をしているの?

後ろ姿からは何とも言えない空気が漂っていて

田所さんは明らかに不機嫌な様子だった。



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