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溺れる愛

第22章 あの頃の君は




俺さ…母親が居ないんだ。

俺が5歳の時、事故で亡くなったらしい。

だけどその時親父に愛人がいて…

もしかしたら自殺だったんじゃないかって声もあった。


それから、その愛人と親父が籍を入れて
義理の母親が出来た。


俺の親父はさ、国内外に通ずる大企業の社長で
まぁガキの頃から厳しかったんだけど

唯一、姉ちゃんや母親だけは甘やかしてくれてたんだ。


だけど、母親が死んで

義母が俺たちと生活するようになって
俺の暮らしは一変した。


その理由は、義母にも子供が出来たからだ。


あいつは、次期社長の座を
自分の子供に継がせたいがために

俺を何度も殺そうとした。


飯に毒盛られるなんかしょっちゅうだし…
階段から突き落とされたりもした。


何度も何度も病院に運ばれた。


それを見かねた姉ちゃんが義母に食ってかかったんだ。


そしたら義母は、姉ちゃんを蔵に閉じこめた。
それも1ヵ月も。


こいつ頭いかれてるって何度も思った。

だけど子供だった俺にはどうする事も出来なくて
姉ちゃんにも申し訳なくて…


それを見てみぬふりをしてる親父にも絶望した。


何も信じられなくなった。


俺は、社長の座なんていらなかったのに。

なんでこんな目に遭わないといけないんだって
自分の運命を呪った。



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