溺れる愛
第22章 あの頃の君は
「芽依……俺、こんなんだけど……
それでも…俺を選んでくれるか…?」
『……っ…』
那津の瞳は少し揺れていて、
私の瞳はいつからか解らないけど
ひたすら涙が溢れていた。
今聞いたことが…全て真実だとしたら…
那津は、私の家族を守る事を選んでくれたんだよね?
自分を犠牲にして……。
つらかったね…。
悲しかったね…。
苦しかったよね…。
心で思うのに…嗚咽で言葉に出来ない…。
だけど…これだけは伝えたい…。
『私は…っ…那津と居たい…』
那津…。
確かに最初は酷かったかもしれない。
だけど、最初からあなたは優しかったよ。
波瑠さんの言っていた
“人の気持ちに敏感な子”
今、やっと解った…。
那津は…ずっと愛に飢えてきた分
誰よりも深い愛があるんだ。
だから私…あんなに酷かったあなたを
いつしか愛していたんだ…。