
溺れる愛
第24章 少しずつズレる歯車
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「クソっ…!油断した…!」
ガンっと机を拳で叩きつけて、俺は言いようのない焦りと不安で苛々が治まらなかった。
「落ち着けよ那津!そんなんじゃ余計に足元を掬われるぞ!」
誠司も、そんな事を言いながらどこか焦っている様子だ。
あいつ…とうとう会社にまで来やがった。
しかも芽依といる所を見られるなんて…
くそっ…どうしてもっと気を張らなかったんだよ俺は…!
あいつは婚約を破談にしたあとも
しつこく俺につきまとってきていた。
恐らく義母と繋がってる。
義母が焚きつけているに違いない。
連絡を途絶えれば諦めるかと思ったが…
まさか乗り込んでくるとは…。
義母は、とうとう仕掛けてくるつもりか。
俺の築き上げたものを
また壊す気なんだな。
「那津…とりあえず落ち着いて状況を整理しよう」
「ああ…そうだな」
誠司の言葉に、俺はなんとか気持ちを落ち着かせた。
芽依だけは…何があっても芽依だけは守る…!
