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溺れる愛

第24章 少しずつズレる歯車




「あの女…まりあさんが来たということは
とうとうあちらも本気を出すという事だね。
これは多分宣戦布告だろう」


「そうだろうな。俺もそう思う」


誠司は何かを思案しているようにうーんと唸っている。



「なぁ誠司…一つ、頼まれてはくれないか」


「あぁ。何でも言ってくれ。今回は殺人だってしてやるぜ?」


こいつも…芽依と同じだな。

気を遣わせて…無理に明るくさせて…

俺に力が無いばかりに…悪いな、誠司…。



「しばらく、芽依を見守ってやってほしい。
本当は俺がそうしたいんだけど…
もうこれ以上、芽依との関係を勘ぐられる訳にはいかない」


「なんだ、そんな事?
そんなの言われなくてもする気満々だったよ」


「誠司……悪い…。」


「何を今更。俺達は親友であり仲間だろ?
そんな奴が困ってたら手を貸す。当たり前じゃん」


「…ああ、そうだよな」


「とりあえず、毎日ちゃんと芽依ちゃんが家と職場に行き来出来ているか監視する。
確認のメールは必ず送るから安心しなよ」


「助かる…宜しく頼むな…」



俺は…本当にいい友達を持った。


でも…情けない。


大事な人をこの手で守りたいのに
今はそれすら叶わない。


くそ…おかしくなりそうだ…。


歯がゆさと悔しさから、俺は歯を食いしばって拳を強く握った。


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