
溺れる愛
第24章 少しずつズレる歯車
その後、現場に戻ると
当然のようにまた彼女がいた。
時折私をじっと見ながら、挑発的な笑みを浮かべて
また那津にしなだれかかる…。
正直、もうこの場に居たくなかった。
こんなに近くにいるのに…
手を伸ばせば届く距離にいるのに…
とてつもなく遠くに感じる。
那津………私…、信じてるから…。
これには何か、訳があるんだよね?
心の中で問いかけても、那津からの返事は当然なくて。
極力そちらを見ないようにして
その日はなんとかやり過ごした。
そしてその帰り道、私は田所さんに呼び止められた。
