
溺れる愛
第24章 少しずつズレる歯車
「お疲れ様。大丈夫?」
車にもたれて腕を組む彼は、海外映画のワンシーンに出てきそうな程画になっていた。
『…大丈夫ですよ』
「…本当に?」
田所さんは…どこまで知っているんだろう…。
もしかしたら、那津のあの状況の理由も
全て知っているのかしら。
本当は訊いてしまいたい。
真実を教えて貰えば楽になれるのかもしれない。
だけど、那津が直接私には言わなかった事を
他の人から訊いてしまうのは違う気がした。
「この後少し、時間ある?」
この質問に、隣に立つ菜々子ちゃんを伺いみると
彼女はにっこり笑って首を縦に振ってくれた。
ありがとう…菜々子ちゃん。
『ええ…大丈夫です』
こうして私は田所さんの車に乗り込む事となった。
