
溺れる愛
第25章 引き裂かれる二人
『はぁ…』
「どうしたんですか?溜め息なんてついて。
今日はずっとその調子ですね」
『菜々子ちゃん…ごめんね、なんでもないの』
私はデスクに頬杖をついて
ニューヨーク転勤の事もそうだけど
やっぱり昨日の…田所さんとのやり取りを思い出して
少し気が重くなっていた。
昨日は結局、返事をせずに家まで送って貰った。
どうして返事出来なかったんだろう…。
私は那津が好きなのに。
何も迷う理由はないのに。
信じて……いる…のに…。
────それでもあいつを想い続けられる?────
他の人と結婚してしまう那津を…私は…。
何か理由があるはず。
そう思うのに…
本当は都合良く振り回されているだけなの…?
なんて思ってしまう…。
────この先、何があっても俺の事を信じて欲しい────
何があってもって…
結婚のことを言っていたの…?
あぁ…午後はまたあの二人を見ないといけないのかしら…
もう行きたくない。
でも仕事はきちんとこなしたい。
あー…辛いよ…。
