
溺れる愛
第25章 引き裂かれる二人
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迎えた午後。
私は菜々子ちゃんと田所さんと現場にいた。
今日は那津とあの人は居ないみたいで
少しホッとしてしまった。
だけど、何をしているのかが気になってしまう。
もしかしたら普通に仕事をしているだけかもしれない。
だけど、そうじゃないとしたら…?
そう考えると、居ないのは居ないで落ち着かない。
そんな自分が面倒くさくて嫌になる。
そして、その日は結局二人が現場に顔を出すことは無かった。
現場を後にしてすぐ、また昨日の様に田所さんが車にもたれながら待ってくれていて
今日は菜々子ちゃんも一緒に送って貰うことになった。
先に菜々子ちゃんを降ろして、また二人きり。
「…少し走ろうか」
田所さんのその言葉に、私は黙って従った。
