
溺れる愛
第25章 引き裂かれる二人
那津……。
『あ……の…』
目があっただけで、その声を聴いただけで
心が震えて、涙が溢れそうになる。
「あなたにも…見せたいものがある」
那津が、真剣な表情でそう続けて
私はハッとした。
那津…何か考えがあるの…?
この先、何があっても俺を信じて欲しい
その言葉の意味は、そこにあるのね…?
もう折れかけていた心をなんとかつなぎ止めて
私は賭けにも似た気分で返事をした。
『わかりました…それじゃあ、是非…。』
最後に明日に賭けてみよう。
那津が本当に彼女を選んだのか。
それとも私を選んでくれるのか。
明日まで、信じてみよう。
だって…私は那津を愛しているから。
