テキストサイズ

溺れる愛

第25章 引き裂かれる二人




──────────………


私は今、菜々子ちゃんと一緒に有名ホテルの
婚約披露パーティーとなる会場に来ていた。


菜々子ちゃんが今回セレクトしてくれたドレスは
淡い水色の、スワロフスキーが散りばめられた上品なもの。

髪は下ろした方が良いと何度も言われたけれど
那津の前でだけだと約束したから…
だから私はそれだけは断ってアップにした。



「どうして先輩を招待するんでしょうね。
まるで見せつけるみたいに」



隣に立つ菜々子ちゃんは少し不機嫌な様子で。
私も重い気持ちを抱えて田所さんを待っていた。


するとそこに、グレーのスーツに身をまとった田所さんが颯爽と現れた。



「こんにちは。お二人ともようこそお越し下さいました」


『…こんにちは、お招き頂いて光栄です』



田所さんはクスッと含み笑いをして、
本当にごく自然に私の腰に手を添えてエスコートしてくれた。



「来てくれて嬉しいよ、芽依」


ボソッと私にだけ聞こえる様に呟いて
彼は会場の大きな扉に手をかけた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ