
溺れる愛
第25章 引き裂かれる二人
「どうぞ」
開かれたそこには、テレビで見たことのある有名芸能人や政界の方々。
大企業の社長や会長などで埋め尽くされていた。
やっぱり…那津はこういう世界でずっと生きてきたんだね。
私とは全然違う…。
あまりの煌びやかなその光景にかなり気後れしてしまう。
私、場違いなんじゃないの…?
「立食パーティーだから、好きなものを食べて飲んで下さいね」
「わぁ!じゃあ私、飲み物もらってきますね!」
菜々子ちゃんは、豪華な料理を目の前にして、少しだけ機嫌が直った様子でホッとした。
田所さんとその場に取り残され、少しの沈黙が流れる。
「もうすぐあの二人が登場するから。
それまで我慢してね?」
『あの…何をですか?』
「うん…もうすぐわかるよ」
田所さんが何を考えているのか…これだけ言葉を交わしても、彼は全く掴み所の無い人だった。
そう言えば、まだ返事してないな…。
