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溺れる愛

第27章 始まりのさよなら




誠司も俺と同じように

呆然と立ち尽くしていた。



「あんまり待たせるもんだから…
暇だったので少し遊んで待っていたんですよ」



クスクスと小さく笑いながら話しかけてくる輝之に


その途端、俺は弾かれた様に輝之めがけて拳を振り上げていた。



「て…めぇぇえ!!!!」



輝之に拳がぶつかる寸前に

近くにいた男に俺は羽交い締めにされた。



「離せ!!!てめぇら!芽依に何しやがった!!!」


すると誠司も俺と同じように輝之につかみかかろうとしていたみたいで
誠司も呆気なく羽交い締めにされている。



「何って…見れば解るでしょう?」



俺は…芽依さえ守れれば……


それだけで良かったんだ……



「それにしても…義兄さんは狡いですよ。
こんないい玩具を持っていたなんて。
たまには義弟の僕にも貸してくれたっていいでしょう?」



その言葉に、黙っていた誠司が声を荒げた。



「ふざけるな!!!何をしたか解っているのか!!」



「ええ、解っていますよ。
それはもう、素晴らしい女でしたよ?
段々快楽に溺れて行く様は
見ていてゾッとした程です」



俺は…悔しさのあまり声も出せなくなって

ただ横たわる芽依に視線を向けると

彼女は小さく震えていて


守れなかった事を痛感させられた。



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