溺れる愛
第27章 始まりのさよなら
芽依は、少しだけビクッと身体を震わせて
だけど振り返らずに前を見据えていた。
小さな背中が
俺を突き放している。
『…離して……。』
「……芽依……」
さっきから名前を呼ぶことしか出来ない。
言葉が出て来ないんだ…。
俺の手を、芽依は少しだけ力強く振り解いて
振り返らずに告げたんだ。
『………さよなら…』
そして、俺の最愛の人は
走ってその場を去っていってしまった。
なぁ、芽依…。
関わらないでなんて言いながら、どうして…
なんで最後にそんな
泣きそうな声で言うんだよ…
さよならなんて…。