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溺れる愛

第29章 エピローグ




毎朝の出勤は、那津の専属の運転手さんに車で送ってもらっていて

一人で行けるからと何度断っても、那津が許してくれなかったんだ。



『来月、凄く楽しみだね』


「そうか?俺は別に──」


『そんな事言わないの。
あー早くみんなに会いたいなあ』



映画やドラマで見るような高級車のふかふかの座席に並んで座って

なんだかんだで会社に着くまでの数分間が楽しくなっていたのも事実で、
断らなくて良かったかもなんて
最近は思い始めているの。


そして来月、


私と那津は1ヶ月のお休みを作って
(那津の権限をかなり振りかざしてなんだけど…)


日本に一時帰国する予定です。



菜々子ちゃん、田所さん

元気にしてるかしら。


日本の空気って、どんなだったかしら。


私はこみ上げる嬉しさから、最近は終始にこにこしている。


そんな私を温かく見守ってくれている那津の目は
とても穏やかで優しかった。



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