溺れる愛
第30章 番外編─おてんば子供に囲まれて─
「あー!!それゆめが遊ぼうとしてたやつ!
返してよーお兄ちゃん!」
「僕が先に取ったんだからゆめは違うので遊べよ!」
「やだー!ゆめもそれがいい!」
ふふ…またいつものが始まった。
さぁ今日はどっちが折れるかな?
私にとっては見慣れた兄妹の小競り合いが
那津にとっては少しハラハラするものがあったみたいで
「ったく、しゃーねぇな」
なんて言いながら子供達の方へと行ってしまった。
口は悪いけれど、その横顔はにこやかで。
「こらー。喧嘩するなよ」
「あ、パパー!お兄ちゃんがね!意地悪するの!」
「違うよ!ゆめがわがままなんだもん!」
「よしよし。じゃあこうしよう!
今からパパと追いかけっこして、勝った方がさきに玩具を使う。やるか?」
「「やるー!!」」
『ふふ…那津も可愛い…なんて言ったら怒られるかしら?』
子供と同じようにはしゃいで笑っている那津も愛しくて
私は最高の主人であり父親である那津と
その人との二人の子供達に囲まれて
本当に幸せです。