
溺れる愛
第2章 衝突
『あの…森山くん?』
芽依の言葉に、森山は本から視線を上げることもなく
「なに」
とぶっきらぼうに言葉を発した。
(なんか…ちょっととっつきにくい人だな…)
少しの不安を覚えながらも、これからまた学級委員の仕事があるとき、気まずい方が嫌なので
極力明るく話すことに努めた。
『さっきの先生が言っていたの、昼休みに一緒に行かない?』
森山は、また本から視線を上げることなく
「わかった」
と一言つぶやいて、あとはもう【あっちへ行け】とでも言わんばかりの無言の圧力をかけてきていた。
(まぁ…仕方ないよね。話したこともないんだし。学級委員の仕事のときだけ、仲良くすればいいんだし…)
それにしても変わった人だなと思い
自分の席に着いてからも、森山をじっと眺めていた。
