
溺れる愛
第6章 変化
(先輩と…これからメールも電話も出来て…
芽依ちゃんって呼んでもらえて…)
先程からこんな事ばかりを考えながら
にやつきが止まらない。
下駄箱で自分の靴を取り出して帰ろうとしていた時
ふと近くでボソボソと話す声が聞こえてきた。
何気なくそちらを伺って
芽依は軽く放心状態になってしまう。
(え…あれって……)
そこには、無表情で立つ那津と
その前に頬を赤らめている少し小さめの女の子。
気になってよくよく耳を澄ませてみると、
自分の耳を疑いたくなる様な会話の内容が聞こえてきた。
「あの…ずっと森山くんの事気になってて…
良かったら私と付き合って下さい…!」
恥ずかしそうに俯きながら話す女の子は
女の芽依から見ても可愛らしいと思う女の子。
(あんな奴に…!?)
思わずこいつの本性は変態ドS野郎だ!
とその子に教えたくなる。
(あいつ…何て返事するの…?)
ドキドキしながら那津の返事を待つと、那津はゆっくりと口を開いた。
「ごめん。俺、誰とも付き合う気ないから」
