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溺れる愛

第6章 変化





「そっ…か、ごめんね…」


女の子は少し泣きそうな顔をして走り去ってしまった。


(誰とも付き合う気がない…?あんなに可愛い子なのに…!?)


顔だけは凄く整っているが性格が腐っている。
そんな風に那津を見ていた芽依は、あの女の子を振った那津に言いようのないイラつきを覚えた。



(何お高くとまってんのよ!バカじゃない!?)


そんな事を考えながら下駄箱の陰から覗いていると
不意に那津がこちらに目を配らせて
思い切りバチっと目が合ってしまった。


(やっば…!!)


見ていた事がばれて、危機を感じて反射的に走って逃げようとすると
いつの間にか近くに来ていた那津にガシッと手首を掴まれてしまった。


『ちょ…!離して…!』


(何こいつ!脚速すぎ…!)


那津はあの冷徹な笑みを浮かべながら



「覗き見なんて…盗撮とかするし、お前よっぽどそっちの犯罪が好きなんだな?」


『な…!?たまたまよ!偶然!別に気になって見てたとかそんなんじゃ…あっ』


今、確実に気になって見ていたって自分で暴露してしまったと思った芽依は、思わず口を手で覆った。


うっかり口を滑らせた事を後悔して
恐る恐る那津の顔を見ると


「へー。気になって見てたんだ?」


あの意地悪な微笑。


背筋に冷や汗が流れた。


『いや、あの、本当に偶然…!』


(なんとかしてこいつから逃げないと…!)


しかし那津に捕まえられている腕はびくりともしない。


「お仕置き…されたい?」


那津のその妖艶な微笑に、全身に鳥肌が立った。



『さ、されたくない!!』


「残念。それは俺が決めるから」


グイグイと引っ張られる腕に
芽依は嫌な汗を流し続けた。




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