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さて、次は…

「火影さん…そろそろいらっしゃる
頃だと思っていました。」


「…瑠璃様と初めて結ばれた時は
本当に最初で最後だと覚悟して…
その後は潔く諦めるつもりでした。
でも愛する人をこの手に抱いたら
もう気持ちを止められなくて…
瑠璃様を俺の手で護り幸せにしたい
って…そう考える様になったんです。
暇を頂いていた間も、何とかして
瑠璃様に元の様な生活をと思って…
護衛以外の仕事で食べさせていく
ことを俺なりに考えたりしました。
でも現実的に考えると、今の状況で
瑠璃様をここから連れ出しても
二人に未来は無くて…」


「貴方が今、誰にも負けないくらい
誠実にあの方のことを想っている
ことは私から見ていてもわかります。
ただ、お二人は上様と護衛という
立場で出会ってしまった…
そして私は幕府の御典医です。
どうすればよろしいのでしょうね…
申し訳ありませんが…今私に言える
ことは、貴方へのお願いだけです。
火影さんが突然姿を消してしまった時
あの方は常に小さな鈴を持ち歩き
とても不安げにされていましたよ。
貴方が誓いを立てたはずの
鈴なのではないですか？
もう二度とあの方にあのようなお顔を
させないと約束して下さい。
例えあの方がご正室を選ばれ、貴方が
ただの護衛の一人としてご夫妻を
お護りすることになったとしても…
どの様な状況になっても、貴方への
信頼は揺らぐことは無いと思いますし、
その点に関しては常に貴方はあの方の
一番なのではないでしょうか…」


「瑠璃様があの鈴を…
分かりました…何があっても
一番近くで護り続けてみせます。
誰にも…麻兎にもその役目を
譲る気はありません。」


「よろしくお願いしますね。
お二人はとてもよく似ています。
だから惹かれあうのでしょうね。」


例え今は方法が無くても、緒形は
目の前の真っ直ぐな目をした青年の
幸せを祈らずにはいられなかった。