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姉さんに夢中

第29章 下の部屋に両親が居るのに

姉さんと2人きりだった日から2週間が過ぎていた。

また2人きりの時間が無い生活に戻り、今日も普通の姉弟として1日が終わっていく。

「テレビばかり見てないでタカも少しは勉強しなさいよ!」

母さんがそう言い残してリビングを後にしてから1時間が過ぎていた。

時計は0時を少し回り金曜から土曜になったところだ。

「ん〜〜っ…さて、もう寝るか…」

伸びをしてテレビを消すとシンと物音ひとつしない我が家。
父さんは母さんよりだいぶ先に寝室に行ったから、もうぐっすり寝てる事だろう。
なんて健康的な親達だ…

そんな事を思いながら階段を上がり自分の部屋へと向かう。

あっ…姉さん起きてるんだ……

姉さんの部屋のドアの下から光が洩れていた。

姉さんは成績優秀とはいえ受験生だ。
邪魔しちゃ悪いと思い、静かに自分の部屋に入った。

ブブブ…ブブブ…

ベッドに入ろうとしたところで携帯が震えた。

ん?…姉さん?

姉さんからの着信だった。

「どうしたの?…」

「…勉強疲れちゃって…少し話し相手してくれる?…」

隣りの部屋に居るのに電話で会話する。
たわいもない会話。
それはそれで新鮮だった。
会えない恋人同士が夜中に会話している感覚だ。

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