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レンタル彼氏。~あなたがいるだけで~

第3章 初夜。

「だって、あのお寺に行った時、心底から思ったのよう。女って何て哀しい生きものだって。あそこに行くと、一人で生きた薄幸な女院さまの悲哀と孤独が迫ってくるの。ああいう静かな場所で私も余生を送りたい」
 いつしか自分でも知らない間に頬が濡れていた。大粒の涙をポロポロと零す美奈恵を剛史が苦虫を潰したような顔で見ている。
「馬鹿っ。何が余生だ。お前、今、幾つだ? 二十七だろうが。その歳で隠居するつもりか」

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