テキストサイズ

レンタル彼氏。~あなたがいるだけで~

第4章 逆らえない恋心

 三十分後、二人は店を後にした。店の出口には鈴が付いていて、客が出入りする度にチリンと澄んだ愛らしい音色を聞かせる。それに気を取られていたために、美奈恵は戸口の靴拭い用の分厚い敷物に足を取られてしまった。
「危ないっ」
 咄嗟に剛史が抱き止めてくれなければ、美奈恵は石畳の坂道の上でまともに転んでいたはずだ。抱き止められた美奈恵は我に返り、危うく呼吸が止まるところだった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ