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レンタル彼氏。~あなたがいるだけで~

第5章 別離、それとも~切な過ぎる夜に~

 美奈恵はケータイを閉じると、眼を瞑った。シートに背をもたせかけ、深い息を吐いた。
 終わった、すべては終わったのだ。
 隣に座る剛史がちらりと美奈恵を見たが、美奈恵は真っすぐに前を見据えたままだった。
 新幹線に乗ってからというもの、二人は殆ど口をきいていない。ホテルを出た瞬間から、美奈恵は一切の私情を殺した。夢は終わったのだから、これからは私情はかえって邪魔になる。剛史には約束の報酬を支払い、これで綺麗に別れるつもりだ。

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