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レンタル彼氏。~あなたがいるだけで~

第1章 始まりはまるで最悪のドラマのように

 美奈恵は更にバッグから安物の二つ折りケータイを出した。いざというときのために持ち歩いているが、現実にはスマホ派なので出番はまったくない。が、こういうときは役に立ってくれるものだ。あまりにも使わないので廃棄処分にしようかと思っていたのに、廃棄しなくて良かったと思いながら、既に頭の中のアドレス帳に登録してある馴染んだナンバーを押す。
―もしもし。
 しばらく呼び出し音が鳴った後、くぐもった声が聞こえてきた。

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