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「再会」と呼べる「出会い」

第4章 兄と弟

「さて、もう少しよ。
 久保先生、少しずつ分別して
 片付けましょうか。」

「ですね
 隠土先生、分別手伝って貰えます?」

「はい。
 …これ、全部捨てるんですか?」

「いるものがあれば
 持ってっていいですよ」

校長先生がにっこりと微笑んだ。



んー いらないな。


「隠土先生、
 今日誕生日ですね」

でかいトロフィーを運んできて
松井先生が放った。

…あ そう言えば…

俺、今日誕生日だ。



なんで?

なんで?本人も忘れてる誕生日を
松井先生が知ってるんだ?

「そうだったわね
 何かお祝いを…」

…ちょっと待て?!
なんで校長先生まで??

「えーっ!
 そうだったの??
 じゃ、今夜の歓迎会は
 誕生会も含めて、で。
 ケーキも用意しちゃいますか」

…久保先生は知らなかったらしい…。

「あの…
 なんで俺の誕生日なんか」

「…」

松井先生が俺の顔を見て、一瞬黙った。

「あー…えっと」

理由を探している。

「名簿を作るときにね、
 確認したんですよ。
 ね、松井先生」

「そうでした、そうでした」

…なんだ

「そうだったんですか」


「特別な日でしたからね。
 頭に残ったんですよ。」



松井先生がじっと俺を見つめる。

…な なんだろう。

なんだろう、この、
意味ありげな表情は

「今日は特別な日だものね。」

校長先生も意味あり気に呟く。


確かに
今日は始業式と入学式があったんだし
特別な日には違いない。







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