テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第4章 兄と弟

その後一時間かけて、
作業は終わった。

「三人共ありがとう
 やっとスッキリしたわ」

棚と本だけになった部屋。
窓は無く、空気が少しこもる。

「この部屋の後の管理は
 松井先生に一任するわ」

校長先生はそう言うと、
松井先生に鍵を渡した。

「…はい
 蔵書の方、少しずつ整理して
 いこうと思います。」

松井先生は少し気になる表情で
鍵を受け取った。

「じゃ俺、行きますね
 歓迎会の準備しなきゃ。
 会場で、お待ちしてます!」

久保先生が明るく去って行った。



「お疲れ様でした。
 俺も、行きます。」

俺も、
目を通しておきたい書類があったので
調理室に戻る事にした。



「隠土先生」

「?」

松井先生が呼び止めた。


「これから、
 よろしくお願いします。」


「私からも。
 よろしくね、隠土先生」

校長先生がニッコリと微笑む。


「俺の方こそ
 よろしくお願いします」



…また改まって、とこの時は思った。




これから待ち受けていること

いや

そもそも
やらなければならないことに
まだ気づいていなかったから。



俺が持つ、 “力” の意味に。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ