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「再会」と呼べる「出会い」

第4章 兄と弟

調理室に戻り、時計を確認すると
五時近くになっていた。
歓迎会は六時半から、
学校近くの焼鳥屋で行われるらしい。

まだ、大丈夫だな。

調理準備室の、
自分の机の上に目を落とす。
職員室にも机はあるが、
こちらにいる時間の方が
長くなるだろう。
教材の準備などを考えたら
ここにいた方が楽だ。
冷蔵庫も、電話もあるし…

「私はほとんど被服室か
 職員室にいますから
 ここは自由に使って下さいね。」

もう一人の家庭科教師、
奥井先生もそう言ってった。
ま、一人でいる方が楽だしな…。

奥井先生は
某有名ブランドの
デザイナーとして働いた経歴もある。
被服部の顧問をしていて
その道に進みたい生徒達に、
本格的に指導しているのだ。


書類に目を通していると
窓の外が何やら騒がしい。

…カラス?

ケンカでもしてんのか?

窓のすぐ外にある
背の高い杉の木が揺れた。
直後、黒い羽根が舞う。

何だろう
不吉な感じがする。

カラスは昔から、
そういう忌み的な象徴だ。



ド   サ



!?

何か落ちた??


窓の外に顔を突っ込む。




…杉の木の真下
黒い羽根と共に
何か黒い塊が落ちている。

…人…


その人物がむっくりと起き上がった。

「やんなっちゃうよねー。
 縄張り荒らしじゃないって
 言ってるのに」

顔はハッキリ見えないが
全身真っ黒な出で立ち



不審者



不審者への対処は…

「どなたかの保護者の方ですか?」


…まず、確認だ。


「…!!」

人物はこちらに駆け寄ってきた。
女? …声は男だったが…

「にいさんっ!!」






…?!



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