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「再会」と呼べる「出会い」

第1章 苦過ぎた初体験

申し訳ないよ。
私より優司くんを好きな子は沢山いるのに。

そもそも…

「どうして私なの?」

優司くんは微笑んだ。
…あーっ こういう表情、私弱い…。

「文化祭でさ、料理部で
 カレー振る舞ってただろ?
 あの時、丁度俺の番になったら
 なくなっちゃって…」

私は思い出そうと
記憶の引き出しを探す。

ん? あーっ…、あれ、
優司くんだったんだ!

文化祭で料理部は
園芸部と共同で
カレーやおにぎり等の屋台を出した。
これがなかなか好評で
お昼の12時を過ぎるとすぐに、
完売してしまったのだ。

始めに用意したのは50食分位
だって、他にも食べ物を出してるクラスは
沢山あったし…。
余ったら自分たちの
お昼にしようと思ってた。

けど想像を遥かに超える
お客さんが来てくれて

客引きをエミにお願いしたのは
大正解だったみたい。

『エミが作った』カレーを
食べたい男子達が沢山来てくれたの。

けど、実際には彼女は
人参の皮すら剥いていない…。
別の方の準備が忙しかったから。

エミは被服部に頼まれて
ファッションショーのモデルを
する事になったんだよね。
だから採寸とか、試着とか
忙しかったみたい。


で カレーはあっという間に無くなって…

「マッジでーっ?!
 俺、楽しみにしてたのに…」

「ごめんねっ優司くん 
 約束してたのにっ!」

屋台で対応していたのはルリ先輩だった。

「なんも食ってねーから
 腹減ったよ~。
 料理部なんだろ… なんかねーの?」

料理部だけど、何も無かった。

一緒に出してたオニギリセットも
サンドイッチもみんな売り切れていた。

残っているのは
カレーが入っていたお鍋だけ。
あと、ご飯が少し…

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