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「再会」と呼べる「出会い」

第6章 気持ちの変化

土手への道のりは長くはないはずなのに

…遠いよ。

優司くんも無言だった。

私達は黙ったまま、並んで歩いていた。

変だよね。

ハタから見たら、
このカップルもう終わりが近いのかも
…なんて思われてるのかな


私はそのつもりだけど



土手へ登る、コンクリートの階段まで来た。

うわ…

土手には十年位前に植えられた
桜の木が規則正しく並んでいる。
学校のとは違う、色の濃い品種。

すごく綺麗なのに…。

シチュエーションが違ったら
もっと感動出来るんだろうな。



私は階段を登った。


土手に上がると
河原にも沢山の花が咲いている。
親子連れやおじいちゃん、おばあちゃん
それにカップルがいる。

表情の明るいあの人達を見ると、
季節がすっかり春になった事を
心の底から楽しんでいるみたいだ。



…それとは逆に

私の心は重く沈む。



「丁度満開だったな」

優司くんが最初に口を開いた。


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