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「再会」と呼べる「出会い」

第8章 その周りの人々

「俺も詳しく聞いてはいないんスけど
 …最近付き合い始めた彼氏と
 何かあったみたいな」

普通こんな事を
先生に言おうなんてしないが、
この人には言ってもいいような気がした。

「彼氏、か。なる程…。
 どんな奴か分かるか?」

「先月卒業した一個上の先輩です。
 派手な人で、なんつーか
 ミカとは全然タイプが違うすんスけど
 卒業式の時、ミカに告ってきて

 最初、ミカは断るつもりだったんスけど
 先輩が結構強引な人で、それに
 ミカも流されやすい性格だったりで
 …結局付き合うことに」

俺、喋り過ぎだな。


「そうだったのか
 …うん、分かった。

 ところで
 香田は佐伯の事、どう思ってるんだ?」



「なんつーか…
 妹に近い感じではありますね。
 心配ではあるんスけど、
 ずっと側にいた割には
 恋愛感情みたいなのは湧かなくて。

 アイツ自身も俺の事
 兄貴みたいに思ってくれてる
 みたいだし…」


…なんでかこの人には
余計な事まで喋ってしまうな

「いい関係なんだな」

隠土先生が柔らかく微笑んだ。

あぁ、そんな顔されると
なんだか照れる…

 そんな性癖ねーけどな。

「佐伯、今日は?」

やけにミカを気に掛けるな。
アンタにはもっと
気にするべき人がいるだろ?


「今日は普段通りでしたね。
 元気でしたよ。
 悩み、解決したみたいな」

…そうは思わないが。

「隠土先生、んな事よりやるべき事
 あるんじゃないっスか?」

一応ハッパかけてやれ。
アンタには頑張ってもらわねーと困る。

「…だよな。
 ちゃんと香田みたいな存在もいるしな。
 佐伯はいい幼馴染を持ったな。」



なんか胸痛ぇ


「邪魔しました。
 俺はこれで失礼します。」

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