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「再会」と呼べる「出会い」

第8章 その周りの人々

「協力してくれるんだろ?」

「一応、ね。
 あー腹減ったぁ
 …うわ うまそ!!」

「お前、そう言えば
 普通に腹減るのな
 朝飯食ったし、
 イカが好きだとか言ってるし」

身体は死んだも同じと聞くと、
普通の食事は必要なさそうだが。

「んー…
 心臓は止まってるんだけど。
 腹は減るんだよな…」


お前の身体は一体どうなって…

俺は次朗の身体の中を診た。




心臓があるべき場所に
時計のようなものが見える。

その針には動かないように
何か鎖のような物が絡まっている。
おそらく
これが次朗から“老い”を奪ったのだろう。
他の臓器は…

あれ?

活動しているようだ。

血に少し魔族特有の陰があるだけで
他に異常は見当たらない。

お前 本当に死んでるのか?

本当は生きたまま、
時間だけを止められてるんじゃ…

「卵焼きうまーっ!出汁効いてるね!
 …? 何か分かった?」

「心臓以外は動いてるようだ」

「やっぱり?
 だって怪我すれば血は出るし、
 アレは起つし、普通なんだよね」

…起つのは淫魔だからじゃないのか?

「ま、エレミムを倒せば、
 俺は元の身体に戻って
 やっとミズカの所に行けるし。

 ホント、兄さん頑張ってよね。
 エレミム倒せるのはかんちゃんだけ
 なんだからさ。」

「…なんか複雑だよな、それ。
 折角会えたのに…」 

「まぁねー…
 けど俺、百年だよ?
 玄孫の顔まで見たんだよ?
 もう、充分だと思うんだ。
 後は役目を、果たすだけだよ。」

次朗の瞳は切なく宙を見つめる。
きっとその瞳にはあの子が、
ミズカが映っているんだろう。

『ミズカの所にいけるし』


今まで何度も
それを望んだんだろうな。

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