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「再会」と呼べる「出会い」

第8章 その周りの人々


調理準備室に戻るとすぐに、
佐伯ミカが訪ねて来た。

佐伯の用件は、
次朗が料理部に入部を希望した事について。


「え あ  
 駄目、とかじゃないんですけど…」


と言う表情は
かなり困っていると言わんばかりだ。


「只、次朗君はその…

 人を呼ぶ力が
 あるっていうか…
 あの…

 混乱すると思うんですよ…

 てっきり運動部とか
 そっちかなって… あ
 余計ですねコレ!

 …すみません」


遠回しに断って来たな…。
確かに言っている事は正しいかもしれない。
今朝の職員室前の状況や
生徒達の反応を聞く限り、
アイツがいるところには人が集まってくる。
淫魔の血を持つ為に、
どうしても人間を魅了してしまうのだ。

佐伯は…

他の生徒達のように反応しなかったのか…。



「あいつは
 運動部には入れないから」

「身体が弱い、とか?」

魔力を持つため、
身体能力は人間のそれを遥かに上回る。
調整してまで、というのは
なかなか困難だろう。

「…いや 別の理由で。

 混乱 なぁ…
 押さえる方法は
 俺も何か考えておくよ。
 
 佐伯、すまないけどよろしく頼む。
 面倒みてやってくれ」


頼むよ。


「私なんか無理です!!」


「ま、そう言わず。
 ある意味、君じゃないとダメかも」


困らせてごめんな。



…コンコン






「にーさー…   あ」

タイミング、いいのか悪いのか、
次朗が入ってきた。

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