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「再会」と呼べる「出会い」

第8章 その周りの人々

「ミカ先輩
 今日の部活は買い出しだっけ?
 荷物持ち、するよ」

次朗は笑顔で言うが、
佐伯はかなりとまどっている。

「じ 次朗君…
 一応新入部員は
 来週からの参加になるんだけど」


「気にしないで
 今日は俺、空いてるから」

「いや、そういう問題じゃなくて…」

次朗は佐伯の気持ちを
察していなくは
ないと思うが…。


グイグイ行くなぁ

俺にはこういう所が足りない。
同じ性格なら、なんの苦労もなく
今頃神鳥を抱けてる… 多分。


「佐伯 俺からも頼むよ。
 こいつ、海外生活長かったから
 早く日本の生活に慣れて欲しいし、
 …友達を早く作る為にも」

嘘でも何でも、後押しするよ。
大体、次朗が入部してくれないと
神鳥も誘えないしな…。



「わかりました」


佐伯が渋々、了承してくれた。


「よろしくね」


次朗が微笑む。

しかしその微笑みを見て、
佐伯は黙り込んでしまった。

「どっか痛い?」

「大丈夫…。」

次朗が心配そうに顔を覗き込む。
おい…そんな風にいきなり近付いて、
大丈夫か?

「本当に?」

「本当!!」

振り切るように、佐伯が声をあげる。

「失礼しました…!」

佐伯が早足で出口に向かう。
急にどうしたんだ?
…あ

「佐伯!財布は?」

「スミレちゃんに渡して下さい」


…行ってしまった。



「追いかけろ」

理由なんて浮かばない。
只次朗は今、そうすべきだと思う。


「見たでしょ?
 …俺 完全に嫌われちゃってる」

「追えよ ヘタレ」

んなツラするならとっとと追えよ。


「それ…
 にーさんに言われるって…」

次朗は呟くと部屋を出た。

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