テキストサイズ

「再会」と呼べる「出会い」

第1章 苦過ぎた初体験

優司くんの家はスーパーから
歩いて五分位だった。

便利だなー。

うちなんか
歩いて30分以上はかかる。
荷物を持って歩くのは大変だから
お母さんは自転車を愛用してる。

「お邪魔します」

家の中からは物音一つしてこない。
誰もいないって言ってたし
当然だけど…

なんだろ

少し 怖い


「こっち」

優司くんに案内されるまま
リビングらしき部屋に入った。

「なんか モデルルームみたいね」

棚の上にも、
テーブルの上にも何もない。

窓際の観葉植物以外
特に飾り気もない部屋だった。

と、言うより生活感がない…。

普通、新聞とか、雑誌とか…
一カ所位は何かあったり
するものだよね。

…みんな綺麗好きなんだ…

私はぼんやりと、そんな答えを
導きだした。

リビングと続きになって
ダイニングと
対面キッチンになっている。

ダイニングテーブルにも何もない。
お醤油とか、塩胡椒とか
普通置いてるものじゃない?

…見せたくないんだな

きっと生活感を出さないように
徹底してるんだ。 
優司くんの御両親ってどんな人かな…




あの時の私って、
馬鹿になってたと思う。

人生初彼氏が出来て
浮かれちゃってたんだ…

判断力が欠けてた。


そうじゃなかったら
普通気付くよね。




残った野菜をしまおうと
冷蔵庫を開けたら
食べ物はそこそこで
殆どがお酒と思しき飲み物のボトル

キッチンにある家電は
電子レンジと炊飯器…

調理器具はお鍋が2つだけと
小さめのフライパンが一つ

お玉も一つ…

きっと殆ど外食とかお惣菜で
料理は苦手なんだ

優司くん、
手料理に餓えてるって言ってたし、
きっとそうだ!



…そんな考えしか、浮かばなかった。

家に入った時に感じた小さな恐怖を、
無視しちゃいけなかったのに。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ