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「再会」と呼べる「出会い」

第8章 その周りの人々

「香田…」

「ミカを助けてやって下さい。
 つーかミカを
 優司さんから奪い取って下さい!!」

…俺は血迷ったわけじゃない。
 違う。

「リョウちゃん分かってるよね?
 兄さんに何言われたか知らないけど、
 今、俺らはそれどころじゃないって」

「…心配いりません。
 俺が貴方の分も頑張りますから」

「簡単に言うけどね、実際問題…」

「次朗、俺も頑張るから!!」


「二人共現実見えてる?
 君ら今の人生もあるんだからね?
 リョウちゃんは受験生だし
 兄さんは新任 間もないし。

 俺なんて過去の怪物みたいなもんだし
 …奪い取ってその後が保たないよ」


「…お前は死んでなんかいない。
 エレミムに会えば元の体に戻れる!」

隠土先生の声に、熱がこもる。


次朗さんは 死んでない


確かにこの人、自分で
死んだと言っていただけだ。

思い込んでるだけの可能性は十分ある。


だとしたら
ミカが悲しむことはないのだ。

「そうですよ。
 次朗さん、お願いします。
 誘惑でも何でもして
 ミカを奪い取ってくれ!」









彼は夢を見るらしい。
幸せだった昔の夢を。


そして  枕を濡らすのだ。








「なんだかなぁ…。

 ま、やるだけやってみるよ」

眉を八の字にし、
次朗さんはため息をついた。


*…*…*…*…*…*…*




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