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「再会」と呼べる「出会い」

第8章 その周りの人々

「フレンチトーストは
 お好きですか?」

「はいっ」

「では、神鳥さんにも。」

ジュワーっと
バターが焼ける匂い… 

「情けない事に
 昨晩飲み過ぎまして
 朝、何も準備出来なかった
 ものですから」

「二日酔いですか?
 もう、大丈夫なんですか?」

「はい。
 午前中いっぱい
 休んでましたから」

爽やかに微笑む彼の表情からは、
さっきまで二日酔いになっていたとは
とても思えない。




「お待たせしました」

「わ」

マスターがテーブルの上に
フレンチトーストとコーヒーを
置いてくれた。

卵液とバターをたっぷり吸ったパン
これは メレンゲかな…?
あしらわれたミントの葉
振りかけられたシナモンパウダー

見た目も良いが
私はもぅ、匂いだけで ヨダレが


「うっまぁーい!」

口に入れると静かにとろけていく。
なんだこれは…
妻が作るのも確かに美味いが
…何というかこれはっ…




「神鳥さんにも喜んで頂けて良かった」

にっこりとマスターが微笑む。


…やっぱりいいなぁ。
この人の笑顔、凄く癒される。



「…かんどり?」



マスターが呼んだ私の名前に、
カウンターのお客がピクリと反応した。


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