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「再会」と呼べる「出会い」

第9章 温もりバス

バス停から数メートル手前にある、
郵便局の角を曲がる。
細い道を少し歩き、
え、ここ、歩いていいの?
と不安になるような砂利道に入る。
垣根で仕切られてはいるが、
誰かの家の敷地内のようにも見える。

間もなく開けた道に出ると
そこは見慣れない景色。
チャイムの音が良く聞こえるから
学校の側には違いないけど。

石畳の道路に
車は走っていない。
人もいない。

昔ながらのタバコ屋さん
駄菓子屋さん
それに古い民家が連なる。
時代劇とかで見る土蔵みたいなのも…

こういうのは
懐かしい景色っていうのかな
ノスタルジック?


「不思議な所だね」

私は呟いた。

なんだろう…

ここは少し、
現実離れしている気がする。

景色もそうだけど、
あまりに音がない。
人の気配がない。

あるのは…



コーヒーの匂い?



横に目をやるとその店はあった。
黒いタイル張りの壁
窓は全部ブルー系のステンドグラス

【軽食・喫茶 濁天】

「だくてん?」

「そ、ここ。」

次朗くんが握っていた
私の手を放し、ドアを開ける。

…なんか少し寂しい なんて

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