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「再会」と呼べる「出会い」

第9章 温もりバス

「寒そうだったから
 掛けてあげたんだよ」

「寒い?」


「ひゃ…」

おでこに当てられた、
つめたい手のひらに一瞬驚く。

「熱はないみたいだけど…
 これから上がるのかなぁ。
 日中は暖かいけど
 朝晩はまだ冷えるもんね。
 …無理しない方がいいね。
 家帰ってゆっくり休もうか。」



…なんか次朗君
 お母さんみたい




「顔色も悪いな
 …よし、送ってくよ」






「いいよ、1人で大丈夫だから」

「だめだめ。
 一人にしておけないもん。」

「なんで?
 さっきから… 私そんなに
 危なっかしく見えてる?
 全然大丈夫だから。
 次朗君に心配されるような事は
 何もないよ」

むしろ解放して
一人になりたい…


「…一人にしたら
 会うかもしれないから」

…?

「ミカ先輩、男見る目ないね」




「なに?次朗君も聞いたの?」

優司君のこと

「…次朗君には関係ないよね?
 今日会ったばっかりだし、
 私達、そんなに親しいわけじゃない」


あれ…
私 なんか、酷いこと言ってる?

「…ミカ
 本当に俺の事、
 なんとも思わないの?」








「…ごめんね」


次朗君の悲しそうな表情に
その一言がこぼれる。

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