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「再会」と呼べる「出会い」

第9章 温もりバス

私達はバス停のベンチに並んで座った。
下校の生徒達が
私達の目の前を通り過ぎて行く。
そして次朗君に気付き、振り返る。

私はなんとなく、距離をとった。

「露骨」

「だって
 あまり近いのもどうかと…え
 ちょ…」

折角離れたのに
次朗君は距離を詰めて来た。
殆ど、密着に近い。
みんな見ていく…ぅわ…。

離れた距離からでも、こちらを見て
なにかヒソヒソ話している。

私だと気付かれないよう、
なるべく、下を見た。


「人目とか、気にするタイプ?」

「気にしない人なんていないよ」

「…ふふ」

「なに?」

私がおかしいのかな?
変に意識し過ぎちゃってたかな?


「いや… そうだね
 勘違いされても困るもんね」

…ズキッ


「そっ そうだよ!」


「ごめんね」


次朗君は立ち上がった。


温もりが遠退いたような…そんな感じ。



「次朗君のお家は?」

送ってくれる事に同意しちゃったけど
もし反対方向なら
もう一度ちゃんと断ろう。


「四津川だよ」

四津川か…。
私が住んでる地区の川を挟んで隣だ。
バスなら次の停留所。

…近いんだ


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