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「再会」と呼べる「出会い」

第9章 温もりバス

「近いんだね…」

「あぁ ミカ先輩文上か
 リョウちゃん家の近くなんだよね」

「え うん。次朗君、
 リョウ君とは仲良いの?
 昼休みに
 次朗君のこと探しに来てたけど」

「仲間だからね」

…仲間

「リョウちゃんってイイ子だよね。
 しっかりしてるし、強いし、
 何より優しいし…
 すぐ近くにいるのに、
 どうして彼にしなかったの?」

「え …それは
 自分でもたまに
 何でなんだろうって
 …リョウ君の事、
 好きになれば良かったのにって
 思うんだけど…」

「…」

「どうしても、そういう風に
 見れないんだよね。
 好きなんだけど、人としてだし、
 やっぱり、近すぎるからかなぁ。
 “お兄ちゃん”って感じなんだよね。」

「お兄ちゃん、か。
 分からなくもないなぁ…」

「でしょ?」

「うん
 けどリョウちゃんの方はどうかな
 …その気、無いのかな」

「ないよ」

「ぅ …そんなハッキリ…
 確認したの?」

「確認っていうか…
 前に一度、リョウ君が失恋して…
 あの時、凄く落ち込んでて
 私、一応慰めてたのね。
 その時に言われちゃった。」


『いっそお前のことを
 好きになればいいのにな…。
 
 こんなに近くにいるのに、
 どうしてもミカに対して
 そういう気持ちにはなれない。
 
 同い年だけど
 妹にしか見えねーし』


「好きになられてもなぁ…って。
 だって私も、リョウ君に対しては
 兄妹みたいな感じだし。」

「へぇ…  けどそれ
 なんかいいね」

「そう?
 けど私も実は、この関係、好き」

「…」

「なに?」


見つめてくる次朗君の表情が優しい。



…あぁ    好きだな







えっ?!!




いやいやいや…


「な なに?」

「いや、笑った顔見れたなぁ~って」

…   



「リョウちゃんに感謝しとこ。
 話題提供」







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